デザイン

わんこうぼうは「食卓に笑顔を添える器作り」をモットーに、普段から使っていただきやすい、オリジナリティのある白磁の器を中心に制作をしております。材料の段階から一番白い土に拘り、料理が映えやすく、食卓を邪魔しない、かつ綺麗に見える白い器を意識して、誰でも使いやすく日常から特別な日まで楽しい食卓に並べる器を目指しデザインしております。

石膏型から

波佐見焼の多くは、いくつかの行程を多くの職人の手による分業で作られてきました。大量生産されることが多いため、製造行程の中に、生地となる土を流し込むための型を石膏で作る行程があります。
わんこうぼうでは、その行程の一部である石膏型の原型師として培ってきた技術を活かし、全てオリジナルの形状の型で制作しています。

波佐見焼

四方を山に囲まれた長崎県の小さな町で、古くから大衆向け日用食器として生産されてきた波佐見焼。今でも町内には伝統的な窯焼や生地や染付 の技術を受け継いだ職人の方々、新たな魅力を創り出す若い職人の方もたくさんいます。様々なニーズに応え試行錯誤を繰り返し、日用食器を中心に今も確かな 技術と熱い思いで作られています。


はじまり

主に日用食器を製作している波佐見焼は、そのほとんどが大量生産が必要になるため各行程ごとに専門の職人の方々が分業で最終的な製品を作り上げていきます。製作過程において、完成品のデザイン模型となる原型製作や、捨て型と呼ばれる生地を流し込む外枠の製作をするのが一般的です。実は全体の行程の中で、この石膏型にかかるコストは比較的高いといわれています。

わんこうぼうは、元々その分業工程の石膏型作りをしていた夫に、自宅で使うための食器を頼んだことがきっかけです。もともと余った石膏を再利用して、試作作りや形の研究をしているのを見ていたので、たまたまイメージがわいたときに自宅用のお皿の原型を作ってもらいました。それから家族分と来客用の数個ができあがった頃、娘の知人の方のご好意で、グランドハイアット内にある南翔饅頭店様内にて展示をさせて頂けることになりました。これと同じ時期に窯業試験場から長崎陶磁器展が開催されるとお知らせがあり、試しに出品させて頂けることになりました。そこで入選することができ、偶然出品していた現物をご購入頂き、さらに追加でもらえないかとのご相談があったため、少しだけ作ってみようということになりました。

その後、地域を活性化のため一緒にイベントをやりませんかとのお話を頂き、現在の峠の里祭りに参加させて頂くことになりました。それから峠の里祭りに向け本格的に商品開発をはじめ、当初はわずかな商品のみでしたが、毎年峠の里祭りにも参加させてもらい、徐々に品数が増えていき現在に至ります。

 

日用食器の使いやすさを求めて

波佐見焼は日用食器として広まってきました。普段使ってもらえる、かつ使いやすいお皿をつくりたいとの思いで、わんこうぼうでは白い器を中心に製作しています。もともと絵付けや窯焼きの技術、釉薬の知識があるわけでもありませんでしたし、自分用の器を作ったことがはじまりだったこともあり、基本的な技術でもできる白い器の制作かからスタートしました。実際に作り、使ってみていくうちに、真っ白なりの大変さ、例えば焼成時に小さな点がつくだけで目立ってしまいガサ扱いになってしまったり、焼き方や温度などで、白の色味にも違いが出てしまうなど、簡単そうに見えて難しい問題がたくさんありました。また使うことを考えることが増えました。当初は白だけだとつまらないかなと思うこともありました。ただ自分達でも使っていくうちに、白い器は料理が映え安く、かつ使い回しが効くことが多いと改めて実感しました。もちろん料理やテーブルコーディネートによっても違ってきます。それでも日用食器の町で育ち、使って欲しいという気持ちが強くあったことから、白磁をメインに作っていくことに決めました。白いので変わった形でも食卓の雰囲気を変に壊すことなく、シンプルでも少し変わった演出ができるもの制作できます。アイデアを形にしていく中で足りない知識と技術を少しづつ身につけながら自分たちが作りたい理想の白い器を制作していくうちにまだまだできることがたくさんあると感じ、白い器を中心にしたものづくりを続けています。

 

原型をつくれる環境で

石膏型を作っている環境を活かして、わんこうぼうならではのちょっ変わった形の器をつくっています。白い器のためシンプルで使い回しのきくもの、また少し見慣れない形でも派手になりすぎず使いやすいものができるではないか、という考えの基、他ではあまりみかけないような形の器作りに挑戦しています。家族だけでひっそりと製作しており、わんこうぼうだけですべての行程を行えるわけではないため、多くの職人の方々の知恵と技術、お力を借りて製作しています。新しい形のものをつくると各工程でなにかしら改善しなければいけないポイントがでてきます。少しつずつ改善していき最終的な商品に仕上げています。

 

ロゴに込めた思い

まず真ん中の形は、WANKOUBOUの「W」と、山口石膏製型の「山」、白を表すWHITEの「W」の三つの意味を表しています。石膏型の制作からスタートし現在のわんこうぼうに繋がっていて、かつ白磁をメインに制作しているので、芯の部分にこの三つの意味を込めた形を配置しています。それを囲んでいる形は石膏型のケースを表しています。石膏型を作る際にケース同士がズレないように、爪と呼ばれる引っかかりと、液体の状態の石膏を流し込むための口を作ります。マークの上部の凸部分はその爪の形、下部の凹部分は流し込み口をそれぞれ表しています。石膏型にもいくつか種類があるのですが、圧力射込みの型を多く作っていたことと、しっかりと考えたものづくりをしたいという思いから、この石膏型ケースの形をモチーフにした形を外側に配置しました。そしてわんこうぼうのモットーでもある食卓に笑顔を添える器作りができるように、この二つの形が、どこか笑った顔に見えるように組み合わせたシンボルマークにしました。